- みはなだ
表現の違いと印象の違いのお話
自分は、いわゆるデータサイエンティストと呼ばれるような仕事をしています。
その中でデータを集計・分析した結果をわかりやすく伝える必要があるわけなんですが、主にその結果を伝える相手は同業者ではなく、企画やデザイナーさんなどデータに関する知識がない人なんですね。
そんな人にも自分の考えや主張をちゃんと、わかりやすく伝えたいなと思う今日この頃です。
相手に伝わる話し方、言いたいことを伝える話し方のための大事な要素はもちろん沢山ありますが、最近感じた表現の違いによる印象の違いをまとめたいと思います。
データを分析する上で、特に2つのものを比べることがとても多いんです。
例えば、あるサービス会員登録のボタンがあります、新しくボタンのデザインを変更したく、そのデザイン案として「A」と「B」があるけれど、どちらがいいか。などです。
この場合、一定期間でA/Bテストを行い実際にクリック率などを計測し比較することが多いです。
そして、例えばA/Bテストの結果として、クリック率が
A:4 %
B:6 %
としましょう。結果としてクリック率が1.5倍高い「B」のデザインが良いわけですね。
さて、これの伝え方なんですが、
「B」にすればクリック率が6%で「A」に比べ1.5倍高いので「B」のデザインにしましょう。
分かりやすいです。
ただ、仮に現行のデザインのクリック率が2%の場合、以下のように伝えた方がより印象が良くなるかもしれません。
AとBどちらのデザインも現行よりよく、Aは2倍、Bは3倍のクリック率が期待できます。 より期待値の高い「B」のデザインにしましょう。
現行より3倍の期待値があるのでより、Bの良さが際立ちます。
逆に現行のクリック率が10%ある場合、そもそもAもBもデザインとしてよくないという結果になります。
「A」と「B」なら「B」の方がいいけれど、そもそも現行のデザインが一番です。
になりますね。
なんらかの理由で「A」を推したい場合、一つ目表現に加えて、Aの方がいいメリットをつけると良さそうですね。
今回のサービスのメインターゲットである、女性に絞った場合、A:5.5%、B:5%でした。なので総合的なクリック率ではBでしたけど、Aもいいと思います。
こんな感じで、表現を変えると、伝わる印象が変わることがわかると思います。
今回例にしたのは簡単なシチュエーションなので、当たり前のことと感じるかもしれないです。ただ最近、これを気にかけるだけで相手に伝わりやすくなり、MTGがスムーズに進むので大事だなと思ってます。
こういう印象操作、結構日常でも溢れてると思っていてメンタルへの影響も変わるのでちょっと面白いなとも思ってます。
「ホワイト企業はいいよね、自分の会社ブラックだからヤバイわ」
「普通の企業はいいよね、自分の会社ブラックだからヤバイわ」
前者は「ホワイト企業」と「ブラック企業」の比較で、後者は「普通の企業」と「ブラック企業」の比較です。
そもそも人間って比較をするときに真ん中を考えるのが苦手だったりするのかなと考えてます。何も気にしないとAとnot Aを比べちゃってAとnot Aの間の存在は想定から漏れるのかなと思ってます。
「ブラック企業」と「ブラック企業でないもの=ホワイト企業」なっちゃってその間の普通を気づかない。いわゆる有象無象なものですが、確かに「世の中に沢山ある、くだらないもの」へ意識が向かないのは仕方がないのでしょう。
でも、せっかく現実世界は0 or 1じゃないので、その間のことを意識してみるとまた違った世界が見えるのかなとも思ってます。
そんな、表現の違いによる印象の違いのお話でした。